(同性婚 in 台湾) 多元成家草案ーその4.ー司法法制委員会で審議

アジアの国で、恐らく同性婚に向けての運動が最も進んでいる国の一つである台湾。昨日12月22日、立法院の司法法制委員会にて同性婚を含む民法修正案の審議がされたようです。台湾のニュースをざっくりとした翻訳で引用しながら、その様子を辿りたいと思います。

昨日の審議は、司法法制委員会13名による検討会。このトピックに対して比較的保守的な国民党9名、比較的推進派の民進党4名の議員。

いきなり何だそれ、と言う方。もし興味がありましたら過去記事をご参照ください：
(同性婚 in 台湾) 多元成家草案ーその1. 過去の流れをざっくり振り返る
(同性婚 in 台湾) 多元成家草案ーその2. 同性婚が何故必要か
(同性婚 in 台湾) 多元成家草案ーその3. 張惠妹による自費コンサート

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同性婚に懐疑的な委員の発言

発言の内容から、さまざまなニュースに取り上げられているのが呂學樟委員の発言。。。

委員会の前に修整反対の嘆願に来た宗教団体が見せてくれた、同性婚推進派の活動を撮影したビデオの発言にあった「動物と交わる」などの卑猥で汚い言葉使いを引用して、一夫一妻制を破壊し更には獣とまで交わろうとしている、「驚嘆し、非常に恐ろし」く感じたそう。
※この汚い言葉、恐らくパレードとか、立法院包囲運動とかでの演説や盛上げる為のシュプレヒコール？で使ったスラングだと思われる。動物との交わりを推進しているわけではないはず。

修正案に一夫多妻制や、人間以外のことについては全く触れていないんですがね…。不思議なご意見。ファンタジーであるビデオの台詞を根拠に公の発言しちゃうとは…呂學樟の頭はファンタジーだな。

さらに呂學樟、新聞では56%が修正案に賛成だと引用しつつ、大部分は黙ってまだ意見が可視化されていないだけなので、賛成派には今回の立法は考える機会とするに留めるて民法のような根本の大事な法律には影響させないことをおすすめする。「あなた方の権益は支持しますが、大多数の人の権益に影響を及ぼすことは絶対にできない」

ふーむ。大多数の権益に、同性婚が及ぼす影響ってなんでしょうね…。

同性婚推進な委員の意見

委員会のメンバーに反対派、もしくは態度を明らかにしていない委員が多いので同性婚推進派には今後もスムーズに事が進む状況ではないのだけれど、上述の反対派の論理の通っていない意見に比べて推進派の発言は力強いものを感じます。

法務部は「同性婚姻者が生理上、（血のつながった）子供を生み育てる可能性の無いこと」を理由に草案に反対しているが、「このロジックに従えば、異性との婚姻でも、婚前に生育能力の有無を検査しなくてはならなくなる」と段宜康委員。

段宜康はまた、個人的にココが素晴らしい意見だと思うんですが：法務部の「草案に反対する声が多い」という反対の根拠に対して、「法律の存在目的は少数派を保障すること。あなた方（法務部）は、反対意見が多く同性婚を求める声は少数だと言いますが、法律の存在目的は少数保護です。宗教や言論の自由は正に少数を保護し、多数派の圧迫から保護する為のものです」と反論したそうです。
社会に例え反対者が多かったとしても「彼らには少しも全く関係ない。とある人が反対しているからと言って、私達は異性間結婚の権利を剥奪しようとしたりはしない」とも。

検討の結論は？

2013年の草案提出から1年経ってやっとの初の検討会となったわけで、ここで直ぐに白黒ハッキリというわけにはいかなそうです。でも、法務部は草案に対して対案を示していないこともあり、法務部次長は12月末には政策の方向性を提出したいとしているようです。

まぁ…反対派の議論を読んだりニュース映像で見る限り、頭の良さそうな事は言っていないなぁ。「社会を壊す！堕落させる！ダメ、ぜったい」で思考停止している様子が明らかになるだけだなぁ。
と、冬至で湯圓というお汁粉のようなモノを食べる習慣の今日は、友達とお客の多い湯圓屋さんでこの件について語りあってきました。反対派がいてどやされないかなぁ…なんてちょっとドキドキしてましたが、これもまた良い啓蒙活動ということで。

台湾での盛り上りー蔡依林「不一樣又怎樣」

法案の進みはゆっくり。反対派も多いし、やっぱり家族意識の強い台湾ではゲイへの偏見はあり、法務部が言うように社会の中でコンセンサスを得られるまでには至っていないです。（個人的には、でも法律こそが率先してそこを打破して制定させてから社会を変えていくものだと思うんだけど）

この検討会の直前、ゲストに安室奈美恵を招いてミュージックビデオを撮るような人気歌手の蔡依林（ジョリン・ツァイ）が、女性ゲイカップルを描く新曲「不一樣又怎樣」のビデオを発表しています。

30年一緒に住んでいる恋人が病気になるけど、法律上の家族ではないので手術同意書にサインができない。そしてそのまま恋人を最期を看取ります。曲の最後では看護婦さんに故人との関係を聞かれ、「彼女は私の妻です」と答えるというシーンでした。

穿った見方をすると、ジョリンは常にマドンナやガガやグエンやKaty Perryのビジュアルを追って（追おうと努力して）ゲイ受けを狙っているように見えてしまうんですが…
しかし、このような大きな流れのある時にこのようなゲイ（に限らず多様な婚姻のあり方）を明らかに応援する態度を取る歌手というのは凄いなと思います。

獣と交わる発言をした呂學樟は、もしこの修正案を通したら歴史の罪人になってしまう、という旨の発言をしたようです。反対にジョリンは歴史の先駆者となることでしょう。

参考資料というか、丸々持って来た記事（中文）

獣発言だけを紹介するニュースが多いなか、この二つの記事がよくまとまっているなーと思いました。

風傳媒：立院審婚姻平權 藍綠意見不一難有共識
公視新聞議題中心：【立院初審】衝擊傳統 vs. 剝奪人權 同志婚姻法案過不過？