(同性婚 in 台湾) 多元成家草案ーその3. 張惠妹による自費コンサート
台湾生活日記のはずが、すっかり台湾ゲイ日記になってる私のブログです。
(同性婚 in 台湾) 多元成家草案ーその1. 過去の流れをざっくり振り返る
(同性婚 in 台湾) 多元成家草案ーその2. 同性婚が何故必要か
しかし、ああああ…ブログをどんどんサボってる間に、キリスト教関係者が同性婚に反対したり、反対派でジムを経営してる人が叩かれたり(ジムの顧客はゲイが大半だから)、ネット上でも色々ネタが生まれております!!
怠けておりましたが、こればかりは書かなくては!と思うことがあったので久々の更新です。それは、2013年12月22日に華山藝文園區で開催された、歌手・張惠妹のライブコンサート「愛是唯一」です。
Flickrより: Luke,Ma
AMEI x LOVE # IN PROUD & LOVE – by Sony A7R
台湾の大人気歌手、張惠妹
ライブについて書く前に、まずは張惠妹って誰?って話から。
台湾の国民的歌手、張惠妹(チャン・ホイメイ)。阿妹(アーメイ)と呼ばれて親しまれている彼女は、キャリアも20年近く中華圏の老若男女に愛されて、デビューから今に至る迄ずっと実力も人気もキープし続けているトップ歌手なんです。このブログでは謝金燕姐さんを推してますが、比べ物にならないほどダントツトップなんじゃないでしょうか。
以前から、LGBTに対してサポートする姿勢を見せており、音楽がゲイゲイしいサウンドというわけではありませんが、一般のみならずゲイからも熱い支持を得ております。同性婚の署名に芸能人として一番に署名したりもしてました。
自費で無料ライブ開催
昨年末、同性婚反対派の大規模集会(20万人が参加とも)するなど、草案の盛り上がりに対して風当たりが強くなっていることもあり、その集会の後、急遽「愛」をテーマにしたコンサートを開催することを決定しました。
コンサートのMCの中で彼女が語っていたことです(うろ覚え、細かい所が違うかも):「突然なんだけど、すぐに愛をテーマにしたコンサートを開きたい、とマネージャーに言ったら『良いですよ、2月?3月?』だって。私は、今すぐ一週間後。と答えたらマネージャーは驚いていました。でも、このコンサートは今開かなければいけないと思ったんです。だから、突然でスタッフやバンドメンバーも多忙な中協力してくれて実現しました」
そして、開催費用は彼女が自費で賄ったとのことです。報道によれば300万元だとか。入場料は「愛により無料」、愛をお持ち寄りくださいってことでした。
ライブ開催発表に際して、本人曰く「この一晩は、合言葉やスローガンは要りません。音楽を通じて、真愛の尊重を求める為にずっと努力をしている全ての勇気のために、 真愛を護るそれぞれの心のために応援したくて、この一晩、真愛のために歌います」私の翻訳はボロボロですが…ゲイの為に草案の為にとか言わないところ、彼女の深い考えと意思を感じます。
ライブ開催の意義
LGBTを応援する意味以上に、トップ歌手が突然の自費開催…自然とニュースにもなって反対派や一般にも広く彼女の姿勢を見せつけることになったことでしょう。
多くのラブソングを歌ってきた彼女。純粋な愛というテーマを訴えることは、彼女の曲のテーマ、考え、ファン層を考えれば納得ができるし戦略としても正しいはずです。とはいえ、婚姻や家庭に関してかなり保守的な台湾では反対派の勢力も強く、真っ直ぐにそれを訴えるリスクは大きいんじゃないでしょうか。それを超えて態度で示す歌手、そして歌手の態度表明を支持する台湾のファンは覚悟がちがうなぁとも感じます。
ライブの内容
曲のセットリストも、スポンサーがなく無料ライブだからこそ実現するであろう、彼女が伝えたいメッセージの曲ばかり。古い曲、レコーディング後人前で歌うのが初めてという半お蔵入り曲、カバー曲…中には台湾人でもあまり知らない曲もあったようですが、歌詞、歌声に皆胸を熱くするのでした。
YouTube で「愛是唯一」 で検索すると色々出てきます。多分歌詞がわからなくてもパワーは伝わるはず。興味があれば聞いて見てください。
印象的だったのは、MCで(またもうろ覚え)、「今日は恋人や友人と来てくださってる方が多いみたい。スタッフから聞いたんだけど(ネットの書き込みかな?)両親を誘って見に来てくれてる若い男の子もいるって。そういうの、大切。愛を伝えましょう。」
また、MCで同性婚や法律について触れない、反対派を批判もしないという、愛を訴える徹底した態度に彼女の強さを見たようです。批判することで自分の考えを訴えるのではなく、歌手は音楽で訴えようという覚悟を感じました。
ここでライブの山場となった「虹彩」。歌の前に皆に手をつなぐよう呼びかけています。
ライブのその後。反応、報道
開催発表からライブ終了後の2ー3日は、私のFacebookも感想、写真、YouTube ビデオリンクで埋まっていました。ゲイのみなさんもちろん、阿妹の声に賛同する人にとっては感動が大きかったです。中華圏では一家団欒する冬至の日であった事、クリスマス前、年末…色々愛について考える季節と重なったのもあったかもしれません。
反同性婚で過激な意見や行動を見た直後だったので感動も際立ちましたが、やはり反対派はいるもの。ネットで酷く阿妹を中傷する者もありました。それでも、意見を表明して行動を起こすスターはやはりスターであります。
阿妹はこれを普遍的な愛の問題、愛を護る問題として捉えました。同性婚と聞くと特別に感じますが、当事者にしてみれば特別でも何でもない。どんな理由にせよ他人の愛を偏見や差別によって否定する道理はないのです。今年2014年、どんな動きがあるんでしょう。
左が2011年発売の最新のアルバム。右は圧巻の2013年ライブDVD、Blu-ray。
日本のiTunesに新しいのは無さそう。古いけど名曲ぞろいのベスト盤:
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Comment
初めてコメントします。
以前よりちょこちょこブログ拝見しておりました。
このムーブメントといっていいのかわかりませんが、実は最初あまりフォローしていなかったのですが周りの人、友達から話を聞いてなんか日本とは全然比べ物にならない程、真剣で本当にすごいなと思います。台湾人の友達も、台湾のことを誇りに思うと言ってました。
アーメイは、自分の立場だったり、守るべきところもたくさんあるはずの大スターなのに今回の行動は、彼女の人間性がすごく表れていたと思います。
日本やアジアに住んでいると、いくら長年一緒に暮らしているパートナーがいても、結婚やパートナーということを法律で認められない現実、またはそれが当たり前と考えざる終えないので、ゲイの人はストレートの人が享受できる普通のことができませんよね。法律で守られる事と人々の偏見がなくなることは、また別の問題と誰かが言ってましたが、やはり同姓婚を台湾からアジア発の国として実現してほしいです。
Tさん、コメントありがとうございます。
私も、最初はあまり…という感じでした。日本で育ったせいなのか、私が無関心なのか、逆にゲイの運動って恥ずかしいものだとすら昔は考えていたくらいです。人様に迷惑をかけたり、声をあげることはあまり良い事ではないと思っていました。でもTさんの仰る通り、普通の事のできない状態なんですよね。
日本だと積極的なのって一部の人だけですよね。変に目立ってるように見えたりして。なので今回、ほぼ全ての友達が集会に行ったりネットで声を上げているのを見て驚いた次第です。台湾でも偏見が無いわけでも無いのに。
私も、近いアジアの国からも実現するように祈ってます!