東京レインボー・プライド2014のネット記事を読んで

公開日: : 最終更新日:2014/07/20 つれづれ

台湾の多元成家草案(同性婚を含む新しい家族のカタチの法案)に目立って大きな動きが無いなか、先週末、東京ではレインボープライドが行われたようですね。
プライドパレードとは、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)の性的少数はが誇り(プライド)を以て歩くパレードです…たぶん。

リンク:東京レインボー・プライド

私が日本に居たとき、東京のパレードは規模が大きくなかったのでハフィントンポストとは言え、一般のメディアでニュースを見た時には、日本も変わりつつあるのかなぁなんて思ってしまいました。今回は、この記事を読んでの感想など。

ハフィントン・ポスト
「日本では同性愛を話題にすらしない」LGBTの祭典「東京レインボープライド」参加者が訴え

レインボープライドへの反応…

当時は、自分も表立ってパレードに参加する必要を感じていなかったので参加したことがありません。LGBT当事者が、世間にアピールする意味がよく分からなかったのもあります。

東京のパレードに出ていない私が、わざわざこのネタについて書くのは、上のハフィントンポストの記事に対しての多くの方の意見が私にとってビックリする内容だったからです。本記事も、ハフィントンFacebookアカウントが投稿した記事へのコメントの方があからさまだったんですが、大まかに次のような発言がコメントの大半を占めております…。こわい。

・黙認してもらってるだけでも有難い
・話題にすれば差別が噴出するので、話題にしないべき
・個人の問題を社会的イシューにすべきではない
・海外が話題にしているからと追随すべきではない
・家族のカタチの乱れは社会崩壊につながる
・問題提起は誰に対して、どんな問題なの?

まずは、LGBT自身の意識…

私も、以前世間にアピールする意味が分からなかった時には頷いていたであろう内容です。日本では、LGBT当事者でさえ、マイノリティとして声を上げることに反対する当事者が多いんじゃないでしょうか。今となって思うのは、それは黙認(”認”めていないから、この場合は黙殺の方がしっくりくるかも)という社会的圧力と差別への恐れからマジョリティの価値観に流されていたのかなと思います。

確かに問題提起をすれば、反対派の意見とも向き合わなければなりません。でも、声を上げなければ差別を受け、マジョリティに合わせて、自分の指向価値観がないものとされるのに同意したことになります。(なので、別にゲイブログでもないし社会運動に参加もしないけど、ネット上だけでもこういうネタは書いてって、たまたま読んだ極少数の誰かの考えるキッカケになればと思っています)
なので、まずはLGBT自身が声を上げて良いという意識を持たなくては。わざわざ活動しなくても、少なくとも自身の指向を否定しない。そして、他人の活動に否定的にならなくて良い環境があれば良いなと思います。

話題にしないことは、黙認?

上の意見で、個人的にとても引っ掛かるのが「話題にしないことで黙認してる」というもの。本当に黙”認”されてるんでしょうか。本当に無関心で関係が無いと思っていたら、意見も書かず、そもそもニュース記事自体をスルーすると思うんです。
しかし、わざわざ自分の意見を書いてしまうあたり、「オレは差別しないけど、誰の目にもつかない所で…オレの目の届かない範囲で存在する分には良いんじゃないの。オレは差別しないけど」という意識がスケスケに見えてしまうのは被害妄想でしょうか。

話題にすることで差別が噴出…というのも分かります。でもそれって差別を可視化するだけなんです。話題にしないから差別が存在しない、ということにはなりません。差別が見えなければそれで丸く収まってるんでしょうか。それは見て見ないフリをしてるだけだと思うんですが。

個人の問題を社会問題にしてはいけない?

次に気になった意見がこれでした。確かに、LGBTというパートナー、家族、恋人関係は個人間の事柄です。でも、だから社会のイシューにしてはいけないという理由がわかりません。
育児、介護、引き蘢り、夫婦別姓、どれも家族間、親子間、夫婦間の問題。そういった個人的な問題を社会問題として捉えて法を整備していく…というのが国家の機能だと思います。

反対であれば意見を述べる、たったそれだけのこと。声を上げること自体に何の問題があるんでしょう。なので、この意見に対しても個人の問題というもっともらしい理由を笠に着た、差別的な押さえ込みだと感じます。

社会崩壊につながるw

という理由を大真面目に書く、モラルのある御方もいらっしゃって、呆れを通り越して笑ってしまいます。それって、例えば同性婚を認めると、日本人の大部分が同性と結婚してしまって社会が成立たなくなるってことでしょうか。それとも、現在異性と結婚してる人の大部分はゲイだっていう前提でのお話なんでしょうか。

ヘテロに成ったことの無い私には、異性愛者がどれほど禁欲的で乱れのない品行方正な生活を送っているのか知る由もありませんが…たぶんゲイでもヘテロでも乱れるは乱れるし、乱れない人は乱れないんだと思いますよ。

最後に…

問題は、LGBTは差別があろうとなかろうと、黙殺しようとしまいとそこに存在するわけです。あなた自身がLGBTになれというわけでも、無理にLGBTの友達つくれというわけでもなく。ただ、否定しないことが大切。(「オレは否定しないけど目の前から消えてね」という偽善を除く)

マジョリティである、ヘテロが自分達を基準に考えるのは当たり前。そしてLGBTだって、男女が子を産む社会に生まれてきたので、それを否定はできません。ただし、それはゲイを否定することとイコールではありません。

社会に迷惑を及ぼさない範囲での自分達の権利を訴えるのは当然だと思います。ここでの「迷惑」に、差別や偏見が大きく入り込むこと。「社会が崩壊する」とか「子供に悪影響」といった、一見もっともらしい偏見入りの「迷惑」という理由が蔓延すること。
※こういった迷惑への反論は、過去記事:(同性婚 in 台湾) 多元成家草案ーその2. 同性婚が何故必要か

台湾でもこういった、自分は差別主義者ですという意見を声だかに叫ぶ方はいます。が、そもそも他人と違う意見を持つ=敵、となってしまう日本では、より根が深い問題なのかもしれませぬ。確かに、そんな状態だったら「声を上げる=迷惑」という図式も成立ってしまう。

もしかしたら、パレードを見て気持ち悪いとか、チンドン屋の行列かのように感じる人もいるかもしれない。けど、多様性を認めることは、他人に合わせ過ぎることなくあなた自身を受け入れてくれる社会を作り上げることにも繋がるかもしれません。

いつか、この国の同調圧力とストレスでお互い縛り付ける文化が和らぎますようにと祈りつつ。すくなくとも、こういったプライド・パレードの記事が写真とビデオ付きでドーンとネットメディアに出るようになったのは進歩だなぁと思います。

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